その育て方、細菌が喜んでいますか?
あなたの鉢の土の中に棲む細菌が喜ぶ育て方をしていますか?
その土は、細菌が心地よく暮らせますか?

細菌が喜べば、植物も喜びます。
なぜなら、細菌が喜びを植物に伝えるからです。

なんだかおとぎ話のような話しですが、これは紛れもない事実なのです。

細菌、特に菌根菌は宿主である植物が元気ならば、安心して末永く暮らせます。

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宿主の植物が枯れてしまえば、菌根菌も食いっぱぐれてしまいます。
ですので、菌根菌は宿主が元気に生長するように、宿主に命令を出して操っります。

信じられませんよね。
私も信じられませんでしたが、これを見たら信じざるを得ません。

菌根菌と共生した植物は、新芽を出しまっすぐに伸ばします。
「ただ植物が自由に生長しているだけじゃないの?」と思われる方もいるでしょう。
自由にのびのび生長したいのなら、みんな同じように生長するはずですよね。

ここで、ちょっと怖いお話をしますね。

昆虫のアリに寄生するカビの細菌がいます。

それは冬虫夏草(とうちゅうかそう)と呼ばれる菌類の一種で、宿主のアリの精神を乗っ取って生存に有利な場所に移動させ、最も適した時刻に宿主が死ぬように操作するという特性を持っています。

寄生されたアリは、集団行動から外れて、ほうけたように木に登ります。
そして木の北側にある葉に食いつき、自身の体を固定します。
この食いつき方は異常で、顎(あご)が葉から外れなくなります。
まともなアリなら、こんなことは絶対にしません。

そして、そのままアリは死んでしまいます。
数日後に冬虫夏草はアリを栄養分として芽を出し、柄を伸ばして、胞子を放出します。
(日の当たる南側でアリに死なれると、カビの一種である冬虫夏草には耐えられません。ですので、北側の葉に食いつくように操作するのです。)

木の上から胞子を放出できるので、広範囲にばら撒けます。
放出された胞子にとりつかれたアリは、ゾンビとなり冬虫夏草に操られるのです。
木の上の北側の葉に食いつくように緻密に操作するのです。

恐るべし細菌の冬虫夏草です。

ゾッとする話ですが、菌類(細菌)は生存して繁殖するために、宿主を操るのです。
冬虫夏草はアリに寄生して、一方的に利益を得てますが、根と菌根菌はお互いに利益を得ます。

根に寄生(本来は「共生」といいますが、話の流れから「寄生」とします)した菌根菌は、宿主の植物から栄養分をもらいます。
逆に寄生された植物は、菌根菌から土中にあるリンなどの養分や水分をもらいます。
このように持ちつ持たれつの共生となり、運命共同体となるのです。

菌根菌は、宿主の植物が元気で生長すれば、末永く栄養分をもらうことができます。
その栄養分は葉で光合成によってつくられたものです。
菌根菌としてみれば、葉がたくさん大きく生長すれば、より多くの栄養分をもらうことができます。

ですので、菌根菌は宿主の植物が効率よく光合成ができるように、葉や茎に生長のしかたを命令して操作しているのです。
そして土中から水養分を吸収して植物に与えて生長を促進させているのです。

何度も言いますが、とても信じられないでしょう。

しかし、全く同じことがヒトの腸でも起きているとしたらどうでしょうか!
起きているんですよ、本当です。

科学的で医学的なエビデンス(証拠・根拠)もちゃんとあります。

ヒトの腸、主に大腸には約1000種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が生息しています。
これらの様々な細菌が多様性をもちバランスをとりながら腸内環境を良い状態にしています。
顕微鏡で腸の中を覗くと、それらはまるで植物が群生している「お花畑( Flora)」のようにみえることから、『腸内フローラ』と呼ばれれています。

この腸内フローラの菌種の中には、大腸から分泌される粘液をエサとしているものがいます。
その菌種は、小腸で消化・分解されなかったものを食べて、なんとビタミンを排出します。
そのビタミンを大腸が吸収してヒトの栄養となるのです。

植物と菌根菌と同じことをしているでしょう。

植物の根と腸はとても似ているのです。

ちょっと余談になりますが、
実は、この腸内細菌や腸内フローラが肥満と深く関わっているのです。

ワシントン大学の研究によると、同じ食事や生活習慣でも太りやすい体質、痩せやすい体質の人がいるのには、腸内フローラが関わっているといわれています。
腸内細菌には「デブ菌」と「やせ菌」があり、太ったマウスのデブ菌を痩せたマウスに
移植すると、痩せたマウスも太りやすくなったという実験結果が発表され、大きな話題となりました。
「デブ菌」に腸内フローラが占領されると、あなたの意志に関わらず太ってしまします。
あなたの体重が「デブ菌」に操作されているのです。

肥満は腸内細菌の「デブ菌」だけではなく、遺伝や生活環境も大きく影響しています。
肥満の原因は、いろいろな要素が絡み合っているので、一人ひとりすべて違います。

ここをしっかりと理解しなければ、健康的なダイエットはできません!

健康的にダイエットをするには、腸内細菌と腸内フローラを理解することです。

話がかなり逸れましたが、腸内細菌とダイエットについては別の機会にお話しますね。

で、話を戻しますが、

植物と菌根菌は運命共同体で、この関係は植物が水中から陸に上がった5億年前から子々孫々と受け継がれ進化してきたものです。
昨日今日の話ではないのです。
植物は菌根菌や細菌、土壌微生物がいなくては生きていけないのです。
(菌根菌が不要の植物もいます)

ですので、菌根菌や細菌、土壌微生物に最適な土作りと有機肥料が大切なのです。
これで細菌が喜ぶと、必然的に植物も喜び花を咲かせるのです。

ヒトも同じく、腸内細菌が喜ぶ「健康な腸」と「食べ物」が大切です。
腸内細菌が喜び腸内フローラが華やかになると、ヒトも幸せな花を咲かせることができます。

これホントのことですよ!