月下美人の魅力

一番の魅力は、深夜に花経(かけい)が20cm超の純白の花を咲かせることです。

日没後にツボミが開き始め、22~23時頃に満開を迎えます。
そして日の出前には萎(しぼ)んでしまう儚(はかな)さも魅力の一つです。
この儚い美しさを見るために、愛好家の方々は花期(かき:花が咲く時期・期間)になると寝不足気味になってしまいます。笑

月下美人の基本データ

学名:Epiphyllum oxypetalum  
・読み「エピピュルム・オクスュペタルム」
・意味「エピフィルムのサボテンに属する鋭い花弁」

科名:サボテン科
・実は、月下美人はサボテンなんです

属名:クジャクサボテン属
・クジャクサボテンとは親戚のようなものですね。

原産地:中南米のジャングル
メキシコ及びその周辺のジャングル(熱帯雨林)が原産地

和名: 月下美人(ゲッカビジン)
名前の由来は、夜中に美しい花をつけることからきています。
昭和天皇が皇太子時代の 1923年に台湾を訪れたとき、「この花の名は?」と質問したところ、隣にいた田(でん)台湾総督が 「月下の美人です」と答えたことから 、この名前が定着したといわれています。

英名:2つあります
Dutchman’s Pip
ダッチマンズ パイプ :直訳「オランダ人のパイプ」
Queen of the night
クイーン オブ ザ ナイト:直訳「夜の女王」

開花期:4~11月
・暖地では12月まで咲くそうです

花色・花経:白色で20cm超の巨大輪を咲かせます。 

生育適温:25℃(最低10℃以上)
・30℃超でも枯れることはありません、さすがサボテン科です。
しかし、寒さにはめっぽう弱いです。

花言葉:「はかない美、儚い恋、繊細、快楽、艶やかな美人」
7月19日の誕生花ともされています。

月下美人の生まれ故郷(原産地)

月下美人は中南米メキシコの熱帯雨林地帯が生まれ故郷です。

月下美人の生育環境を参考にして推測してみると、黄色で囲ったエリアではないか?と思われます。
うっそうと繁ったジャングルの中で、古木の幹や腐葉土やコケの層に根をおろして生息しています。

そして、蔦(つた)やツルのような「シュート」というものを伸ばし、木や岩盤に付着しなが上へ上へと移動していきます。
このような植物を着生植物といいます。
ジャングルの表土付近は日当たりが悪いので木や岩盤を利用して、少しでも日当たりの良いところを目指して伸びていくのでしょう。

月下美人の品種

月下美人(ゲッカビジン)

花径 20cm 花期 6~10月
メキシコの熱帯雨林地帯を原産地とするサボテン科クジャクサボテン属の常緑多肉植物。
日本で多く流通しているクジャクサボテン属(Epiphyllum属)には交配種が多いが、 これは原産地からそのまま導入された原種です。




姫月下美人(ヒメゲッカビジン)

花径 7cm 花期 5~11月
姫月下美人の特徴は、小振りながら花の数の多さと強烈な芳香です。
花は小ぶりですが超多花性で花数が多く、夜明け~日中まで咲き続けます。
また、月下美人よりも開花時期が1ヶ月程度長く11月まで花が楽しめます。
月下美人と同様の交配種ではない原種です。


十三夜美人(ジュウサンヤビジン)

花径 20cm 花期 7~8月
月下美人と宵待孔雀の交配種で菊咲きの花。
月下美人よりは小振りで重圧感はありませんが、清楚で可憐です。
花は萼が淡いクリーム色、雌しべの軸は紅色をしています。
花が咲いた後に、鮮やかなピンク色の実を付けることもあります。
月下美人の香りを、ちょっとだけフルーティーにした香りを漂わせます。

宵待美人(ヨイマチビジン)

花径 17cm 花期 6~10月
月下美人よりも花びらが細く、雌しべがピンク色をしています。
菊咲きなので、八重咲きの月下美人と比べると見劣りますが、そこが可愛いらしさでもあります。
つぼみは薄緑色で上向きにつき、花は白色で、月下美人とは違い香りは極めて微小です。


歌麿呂美人(ウタマロビジン)

花径 15cm 花期 8~10月
歌麿呂美人は月下美人と宵待孔雀の交配種です。
実は食用で食べることができます。
キューイフルーツと似たような味でとても美味しいです。


白眉孔雀(ハクビクジャク)

花径 13cm 花期 8~10月
葉(茎節 けいせつ)の形が魚の骨のような形状なので、フィッシュボーンカクタスとも呼ばれています。
花はジャスミンに似たいい香りがします。
白い花の下に、オレンジ味を帯びた鮮やかな黄色をした萼が付きます。
実は食用でドラゴンフルーツのような甘酸っぱい味です。


満月美人(マンゲツビジン)

花径 15cm 花期 8~10月
月下美人と姫月下美人の交配種で、姫月下美人より大きく月下美人よりも小ぶりの花をたくさん咲かせます。
美しい花がたくさん咲く、交配親両者の長所を兼ね備えた種類です。

ミニドラゴンフルーツ

花径 7cm 花期 5~10月
通常のドラゴンフルーツは1m以上になりますが、この「ミニドラゴンフルーツ」は30cm~40cmで実をつけます。
熱帯性の植物ですので、冬場は5℃以上で管理します。小さいので、室内に置いてもじゃまになりません。

補足)ドラゴンフルーツ
熱帯アメリカ地方原産。
長く伸びてくる茎を 「竜の体」、赤い実を「竜の目」に見立てて「竜の果物」からドラゴンフルーツ との名前になったとのこと。
別名 「ピタヤ」とも呼ばれる。











 

月下美人はサボテンです

月下美人はサボテン科の植物です。
普通のトゲトゲのサボテンは主に乾燥した砂漠地帯に自生しているもので、砂漠性サボテン(ディザートカクタス)と呼ばれています。

月下美人は前述の通り南米のジャングルに自生しているので、森林性サボテン(ジャングルカクタス)と呼ばれています。  

この2種類のサボテンは生育環境がかなり違いますので、多くの点で異なっています。
砂漠性サボテンは極度に体幹が多肉化しています。
森林性サボテンはふつうの植物の葉に似た体幹をしていて、それほど多肉化していません。
(多肉とは、植物で茎や葉が厚くなっていること)
また花の特徴もかなり違います。
砂漠性サボ
テンは一瞬の雨の後に、パッと咲いてパッと終わります。
まるで花火のような咲き方をします。
品種によっては2〜3日咲き続けものもあります。
森林性サボテンは1年のうち何回も咲いたり、花の咲く時期が長かったり、花の数が多かったりします。
これは観賞植物の特性をよく備えていますので、花サボテンと呼ばれ園芸植物化されてきました。

月下美人が夜に咲く秘密

月下美人の花の花粉は、コウモリによって媒介されるんです。
なぜ、月下美人はコウモリを頼るようになったのでしょうか?


(引用画像:フルーツコウモリ)

月下美人の生まれ故郷は南米のジャングルです。
樹木に覆われてうっそうとしていますが、日中はかなり蒸し暑い。
実は月下美人は暑がりなんです。
30℃を超える暑さの中では半休眠しちゃいます。
もちろん動物にも昆虫にも、この蒸し暑さはキツイはず。
それなら、夕方から明け方にかけての涼しい夜に活動したほうが快適でしょう。
開花はものすごいスタミナを消費するので、バテている日中に咲くのは無理がある。
たから涼しい夜に咲くのが合理的。
花粉を媒介してくれるコウモリや昆虫たちも涼しい夜に活動し始める。
両者の利害関係が一致したわけです。

コウモリがとまれるように

こんな花の形状になったらしいが、はたしてとまりやすいのだろうか?
ホバリングしながら、上向きに咲いた花の蜜に顔を埋め、同時に顔を花粉だらけにしつつ花から花へ花粉を媒体するとも言われています。

コウモリや昆虫が花蜜も吸いやすいようになっているとのこと。
萎んで下を向いた花から花蜜が垂れていたことがありました。
コウモリ相手なので、けっこな量が出るみたいですね。

いくら純白大輪な花を咲かせても、月明かりでは遠くからは見えない。
白や淡い黄色などは、少しは月明かりに映えるかもしれないけど、あまり効果はないはず。と、
言う意見と、結構見えるはずという意見があります。
どちらが正しいかは、コウモリや昆虫に訊いてみないと分からないですね。

昼咲く花のようにカラフルな色合いで動物や昆虫を誘き寄せることはできない。
色に代わって夜咲く花に役立つのが芳香です。
これもたいへん理に適っています。
熱帯の夜はどこからともなく甘酸っぱい香りがするらしい。
これは花が発する芳香で、月下美人以外にも香り放つ植物はジャングルには多くいるのです。
月下美人が発する芳香はかなり強く、咲き始める前から香りが部屋の中に漂い始めます。

月下美人はクジャクサボテンの親戚?

月下美人と似た花を咲かせるのがクジャクサボテンです。

月下美人もクジャクサボテンもエピフィルム属のサボテンに分類されます。
しかし、まったく別の進化を経ているので、性質や生育環境、開花期などかなりの違いがあります。

月下美人とクジャクサボテンの大きな違いは、

●月下美人は白色の花のみで、カラフルなものはクジャクサボテンです。
●月下美人は夜に開花して、次の日の早朝~午前中には萎んでしまう。
●月下美人は刺座にトゲがない、クジャクサボテンは刺座にトゲがある。

クジャクサボテンにも白色の花はありますが、日中に開花するか、2~3日萎まずに咲いています。
この3つの違いを知っていると、月下美人とクジャクサボテンが見分けられます。

補足)
孔雀サボテンの葉っぱには小さい棘があり肉厚。
月下美人は棘などはなく、葉も薄めで固い。

月下美人の特徴

月下美人の葉のように見えるものは茎節(けいせつ)と呼ばれるものです。

 

 

 

 

 

 

茎節とは、茎が平たくなり葉の機能を持つたもので、本来は茎だったものです。
株が成長すると棒状のシュートと呼ばれるものが伸びてきます。
その棒状の先端に茎節が出てきて花芽をつけます。
花はほどんどが白色で、色がついても、がく弁に黄色や赤胴色が少し見られる程度です。


花は強い芳香を放ちます。
特に、原種である月下美人や姫月下美人は強い香りを漂わせます。

夜に咲く花に共通した特徴は、
●花の色が白色
●芳香を放つ
挙げられます。 


白色は月光が反射して映えるからと言われていますが、確証はありません。
芳香は、虫やコウモリに受粉を手伝ってもらうために、誘き寄せるたものらしい。
これは先に説明したお通りです。
暗闇の中では、香りで誘き寄せるのが最も効率がイイはず。
いくら白く大きな花を咲かせても、月の光の光量じゃ遠くからは見えません。
ちなみ香りですが「甘い湿布の匂い…!?」なんです。
あくまでもわたくし個人の主観ですが…

よく聞かれるのが、
「甘い香が部屋中に漂ってます」
「幸せな甘い香りがします」
のようなレビューが多いのですが、これはこれで嘘ではないのですよ!

はじめて嗅いだ人は、「なにこの匂いは…」と幻滅するみたい。
私もそうでしたが、嗅ぎ慣れるとクセになり恋しくなる香りなんですよ。
そして多くの方が禁断症状になっています!

香水にもなっていますよ。

 







その名も『NIGHT QUEEN』です。

月下美人の楽しみかた

食べる

おひたし

月下美人の花は酢の物で食べるのが一般的ですが「生食」でもいけます。
少しネバネバ感があるので酢醤油やポン酢が合いそうです。

生食に抵抗のある方は「おひたし」でもイケますよ。
しぼんだ花をさっと湯通しし甘酢をかけて食べてみてください。
シャキシャキの歯ごたえと独特のとろみが絶妙です。


天ぷら

お花の天ぷらも有名ですね。
咲き終わって萎んだ花を衣をつけて油で揚げます。
サクサクしてふわふわ、ちょっとヌルヌルが楽しめます。


焼酎漬け

満開の状態で花を切り取って焼酎に漬けて保存できます。
漬けたお酒は飲むこともできます。


氷砂糖を入れて作れば美味しリキュール酒っぽくなります。
花を長期間漬け込みすぎると花粉臭くなるので注意が必要です。

スープ

台湾の家庭料理では、スープに入れたりします。
台湾では庭先の垣根などに月下美人が植えられていることが多いので、食材には困らないのでしょうね。
このスープは薬膳の効果があり、肺にたまった熱をとりのぞき、咳や痰を止めてくれる働きがあるといわれています。

薬として

月下美人は漢方薬にもなっています。
中国や台湾では、乾燥させた花が薬や食材として売られいます。
咳、喘息、肺炎など呼吸器系のトラブルや高血圧、体脂肪の改善に有効といわれています。

アートとして


切り花

咲く2時間前ぐらいの蕾の首を長めに切って水に挿します。
テーブルや机の上などできれいに咲いてくれます。

冷蔵保存

満開の花を切り取り、ポリ袋に入れて息を吹きかけ膨らまします。
ポリ袋の口を閉じて冷蔵庫に入れれば2日程満開状態を保ちます。

※寒いほうが開花している時間が長くなります。
秋が深まり夜が寒くなる頃に咲く花は、開花している時間が夏場よりも長くなります。


ドライフラワー

満開の花を切り取ってドライフラワー用のシリカゲルにやさしく埋め込みます。


1週間程もすれはきれいなドライフラワーに!
取り出すときは、ゆっくりとやさしく時間をかけてね。
花びらが薄いので、すぐに欠けてしまいます。

ハーバリウム

ドライフラワーができたら、ハーバリウムにもできます。
花が大きので容器も大きいものが必要です。
あなたのセンスを生かして美しいハーバリウムを作ってみてくださいね。