11月最終日の昨晩、十三夜美人が咲きました。
南国の花が、こんな冬に咲くのは奇跡なのでしょうか?

花が咲くには、なにかのきっかけがなければなりません。
そのきっかけが「引き金」となって花が咲くのです。
ちなみに英語で「引き金」のことを「トリガー(trigger)」といいます。

春に咲く桜は、冬の寒さを乗り切り、春の温かさがトリガーとなります。
秋に咲く花たちは、夏至から夜の長さが長くなることがトリガーとなります。

では、月下美人のトリガーはなんでしょうか?
原産地と日本の両方で調べてみました。

月下美人の花期は日本では、6月~11月あたりです。

原産地(メキシコ~アマゾン)での花期の情報はあまりありません。
雨季に開花して乾季は休息期ともいわれていますが、定かではありません。

そこで原産地と思われる「ベリーズ」で検証してみましょう。
これにより月下美人の開花の秘密がわかるかもしれません。

「ベリーズ」は、ユカタン半島の付け根の部分に位置しカリブ海に面している温暖な国です。

通年、温暖な気温で平均最低気温も1月で19℃と、月下美人には最適なものです。
これなら越冬休眠はしないはずです。
しかし真夏は平均最高気温が34℃と、ちょっと厳しい暑さです。
真夏は半休眠しそうです。

もし、原産地での花期が日本と同じならば、気温が下がりはじめたら開花すると考えられます。
平均最高気温は5月をピークに、1月まで穏やかに下がっていきます。


ベリーズの平均最高・最低気温グラフ

植物は夜の長さを計り開花の時期を判断するともいわれています。
夜の長さは、6月から緩やかに長くなり、12月でピークを迎えます。
これも月下美人の開花に関係ありそうですね。


ベリーズの昼間時間および薄明時間グラフ

そして雨季と乾季を見てみるとどうでしょうか?
原産地では、5月~11月は雨季で、12月~4月は乾季になります。
もし、月下美人が原産地の季節にもとづいて日本でも咲いているとしたら、雨季に開花していることになります。
常に水が豊富な時に咲いていることになります。

雨季に開花して結実すれば、その後の乾季を種の状態でやり過ごし、次の雨季に発芽するという理に叶ったことも考えられます。
ベリーズの乾季には、東京の最も降雨量が少ない12月の半分ほどしか雨が降りません。

たぶん雨季に開花しているのでしょうね。


ベリーズの平均月間降雨量グラフ

以上のことから推測するに、月下美人の開花は、温度と夜の長さで決めていると思われます。
夜が長くなり、だんだん涼しくなってきたら開花が促進されるのでしょう。

通年、LED照射を12時間、室温の最低温度を20℃で管理している我が部屋では、12月でも月下美人が咲きます。が、
1月~4月はまだ実験していません。

来年の4月まで、上記条件で育ててみます。
多分ですが、この条件だと月下美人は1年中開花するはずです。