なぜ月下美人は浅植えにするのか?

植替えのとき「浅植えにします。」とよく言われます。

月下美人やクジャクサボテンは、直根(ちょっこん:まっすぐ下に伸びている太く長い根のこと)がなく、細い根が表土近くに張ります。

これは着生植物に近い植物の特徴です。

着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)とは、土壌に根を下ろさず、他の木の上、あるいは岩盤などに根を張って生活する植物のことです。

優雅でゴージャスな花を咲かせる「蘭(らん)」も着生植物の仲間です。

蘭には地生蘭と着生蘭の2種類があります。

地生蘭とは、通常の植物と同じく、地面に根を降ろして自生する蘭のことです。

着生蘭とは、他の植物や岩の上に根を降ろして活動する蘭のことです。

この着生蘭は浅植えがよいとのこと。

月下美人は着生蘭に近いものと考えます。

ですので、市販されている「洋ランの土」でも月下美人を育てることができます。

水苔でも育てることができるらしいです。(胡蝶蘭は水苔で育てます。)

月下美人が「洋ランの土」と「水苔」で元気に育つかどうか、近々に実証実験をしてみます。

話が少し逸れましたが、要は着生する性質のものは浅植えするかと思われます。

着生植物で浅植えにするものには、通気性と排水性の高い土を用います。

赤玉土は通気性と排水性は高いですが、水やりのたび経年劣化していき、土の粒が崩れ自重で沈んで隙間がなくなります。

そうなると水はけと通気性が悪くなりますから、植物にとっては好ましい状態ではありません。

これが根腐れを引き起こす原因にもなります。

腐葉土を混ぜることで、通気性や保水性を改善することができます。

世間一般に書かれている「赤玉土5:腐葉土3:…」のブレンドはこういった理由なのです。

赤玉土に代わる経年劣化しづらい土は、パーライトやバーミキュライト、ゼオライトです。

これらを調合した市販のもので「シャコバサボテンの土」や「サボテンの土」があります。

この用土は、通気性と排水性がよく、水をかけたらすぐに鉢底から流れ出します。

そして数時間で表土が乾燥します。

「シャコバサボテンの土」と「サボテンの土」の違いは土の粒の大きさです。

「シャコバサボテンの土」のほうが若干粒が大きめで月下美人のような大型な多肉植物向きです。

このような無機質の含有量が多い用土は、水やりと施肥のやり方が重要です。

水やりの代わりに液肥を鉢底から流れ出るぐらいたっぷり与えます。

これは月下美人の根から排出され土壌中に溜まった二酸化炭素や老廃物を洗い流すためです。

老廃物は土の微生物が分解してくれますが、無機質の含有量が多い用土では微生物が少ないため分解させれず残留してしまいます。

これが根腐れの原因にもなります。

水代わりに液肥を与えても大丈ですので、たっぷりと与えて土壌中の老廃物を洗い流しましょう。

◆まとめ◆

浅植えの話から用土の話になってしまいましたが、経年劣化しづらい用土で通気性と水はけのよいものが、表土近くに根を張る着生植物向きです。

ただし、経年劣化しづらいといっても2~3年での植替えは必要です。

根腐れ防止のゼオライトの効き目がなくなってくるからです。