植物の根は、生育に必要な水や養分を土から吸収する大事な役割をしています。

菌根菌とは

その根にカビ(菌類)が生えると植物が元気になります。
カビ(菌類)と言っても食べ物を腐敗させる有害なものではなく、植物の根と共生する有用なカビ(菌類)です。

その有用なカビ(菌類)のことを「菌根菌(きんこんきん)」といいます。
菌根菌はカビ(菌類)の一種で、土壌微生物ともいわれ、根に着生・共生して根の働きを助けてくれます。
(菌根菌の種類は5000~6000種もあり、陸上の8~9割の植物たちの根と共生しています。)

菌根菌が根に着生・共生された植物は、

 

①水分・養分の吸収が促進される

菌根菌は、土から取り入れた窒素、リン酸、カリウム、鉄などの無機栄養分を、植物が吸収しやすい形に変換して供給します。
特に、植物の開花・結実に大切なリン酸も、植物が吸収しやすい形に変換して供給しますので、花つきや実つきがよくなります。
もともと、リン酸は土壌にあまり含まれず、拡散もしづらく、水に溶けにくい性質のため、植物にとっては吸収しにくい栄養素です。

やせた乾燥地に生える植物なら、ただでさえ少ない栄養素を自分で集めるのは大変です。
根に着生した菌根菌は菌糸を伸ばします。

その長さは、数センチから時には数メートルにもなることがあります。
根の届かない場所から、この菌糸が養水分を吸収して根に送り届けてくれるのです。
(菌糸は太さ2〜10µmの微小な糸状の細胞なので、肉眼で見ることはできません。)

菌根菌をすまわせることによって、効率よく栄養を吸収することが可能となるのです。
このとこより、菌根菌は生物肥料と呼ばれることもあり、減化学肥料栽培を図ることができます。

菌根菌と根の共生が上手くいくと、カラカラの畑でも、植物がきれいに大きく育つことができます。

②病気に対する耐性が付く

根を覆った有用な菌根菌は、病原菌の侵入を防御してくれます。
菌根菌が根に着生したら、根から植物の光合成産物である糖類などの炭素化合物の供給を受けます。
これが菌根菌のエサとなるのです。
前述したように、根は菌根菌から無機栄養分を供給されるという、持ちつ持たれつの良好な関係が確立されるのです。
この良好な関係を打ち壊すような病原菌が近寄ってくると、当然のごとく菌根菌は安泰な生活が壊されないように、病原菌の侵入を阻止 するのです。
これにより、植物の耐病性が向上するのです。

菌根菌の現状

化学肥料や農薬の多用で多くの畑から姿を消している菌なのです。

一見化学肥料や化学薬品が植物の成長、健康を助けているように見えますが、実際には有用微生物がいなくなることによって、その健康状態を見えないところで大きく損なっているのです。