コラム Vol.01    『 俗 説 』

月下美人にはその美しさのためや希少植物として好奇を煽る言い伝えや俗説が流布しています。

たとえば、

満月の夜にしか咲かない


月下美人が夜咲くのは、受粉をコウモリに行ってもらうため。
コウモリが月下美人の花粉や蜜を食べに来きたときに、自動的に受粉も行われる。
満月の時だけ花粉や蜜を食べに来るのではないので、月下美人も満月に合わせて咲く必要がない。

月齢の表示機能のあるデジタル時計で、開花と月齢の関係を調べてみたことがあります。
結果、月齢に合わせたサイクルで開花はしていません。
もちろん満月の時だけ咲くこともありません。

1年に1度しか咲かない

きちんと手入れがされている充実した株ならば、年間2回以上咲きます。

花期は春と秋で、特に秋は一番よく咲く季節です。

同じ日に咲く

毎年、同じ日に咲くことはありませんが、咲く時期は大体同じです。
以前、札幌と新潟で同じ日に、同じく2輪咲きがありました。


これは偶然的なもでしょう。
月下美人は1つの株から挿し木で繁殖されて日本中に広がったと言われています。
日本にある月下美人は、同じ遺伝子を持つ複製なので、同じサイクルで開花するとの噂が広まったのでしょう。

俗説ではありませんが、

真夏の猛暑期は半休眠する

30℃超えだと半休眠するときもありますが、そんな中でも開花するときもあります。
一昔前の物の本には「真夏の猛暑期は半休眠するので水やりや施肥は控えること」と書かれています。が
耐熱性が増したのか、日本の環境に適応したのか定かではありませんが、休眠しないときもあります。
そんな時は、ふつうに水やりと施肥を行います。

シュートは切ってはいけない

本株から伸びてくるシュートは1m程で切っても構いません。
あまり伸ばし過ぎると管理するのが大変です。
シュートは先端から10cm程のところで切って、切ったものは挿し木に使いましょう。
参考記事:育て方:シュートの挿し木
グイグイ伸びて成長するシュートを切るのは、いたたまれない気持ちになります。
それで「切ってはいけない。」との言い伝えになったのでしょう。